HOME 雪山放浪記 サイバーバックパッカー アヌシー 2CV写真館 掲示板 リンク |
Les 3 vallee その2 |
最初にご注意です。 絶対にマネしないで下さい、マネされても責任は負いかねます。 ここはゲレンデ外つまりバックカントリーです、圧雪車で整備されてるわけでもパトロールが危険箇所にロープを張ってるわけでもありません。 一帯は氷河地帯で、クレバス、つまり氷河の割れ目がいたるところにあります。 氷河って普通の雪よりも青白いんです、自然の造形物は遠くから見るとそれはとてもきれいなものです、しかし、我々のような一般人がクレバスに落ちること、そして山中で迷うこと、それは最期を意味します。 通常は知識と経験の豊富なガイドを雇いガイドの後について行きます、お金を払うことで(保障されてるわけではありませんが)安全なバックカントリーツアー、そして雄大な自然を目にすることができるわけです。 たまたま私は1人だったのですが、細心の注意と今までの経験を基に無事に下まで降りることが出来ました。 (偉そうなこと言ってすいません、降りてこれた、というのは結果論なんですけどね) 幸い、好天にも恵まれ、良い写真が取れたと思うので紹介させていただきますが、具体的な山の名称などは伏せさせていただきます。 他のページにも「パウダー」「パウダー」といたるところに書いてあるのでお分かりかと思いますが、「パウダー」つまり誰も滑ってないところを滑るのが大好きです。 スキー場にいるときはいつも「どこかに面白い斜面ないかな」とアンテナを光らせています。 ヴァルトランス滞在も後半になるとゲレンデ外も含めた全体地形が見えてきました。 「あそこを登ればだいたいあの辺に降りて来れるかな」と、前から目を付けていた所に行ってみました。 次の日がヴァルトランスを滑る最終日、しかし終わりのない様に続いていた好天も明日は???という情報もあり、今日を逃したら明日はないかも、ということで登ってみることに。 最初はリフトを使ってスキー場の上限、標高約3000mの所へ、それからスノーシュー(かんじきのようなもの、フランスではラケットという)に履き替え、スノーボードをバックパックにくくりつけハイクアップ開始。 他にもいくつかのツアーグループがいる、もちろん1人で登るのは私だけ。 1時間30分ほど登り峠に着く、他のツアーが滑り出すのを横目にもう少し滑れそうな痩せ尾根を更に登る、で、着いた所が1番上の写真、標高は3500mを越えていました。 昼食と休憩をはさんで下山の支度を始める、山は広く、急ではないがいたるところにクレバス、あきらめて引き返すツアラーもいるほど「ヤバイじゃん」 お昼を食べながら眼下に見える他のツアーのルートを頭にたたきこんだ。 山を降りる。 細心の注意を払いながら、雄大な自然に感動しながら、そしてひとつひとつのターンを無駄にしないように。 ここ何日か風が強かったため雪はクラスト(表面がモナカのように硬い)状態、スキーだと苦戦するかも、その点1枚板のスノーボードは片足をとられる心配がない分楽かな。 平らな所に出る。 「いやぁー気持ちよかった」 無事でなにより、少し先に山小屋と人影が見える、とりあえず遭難はしてないみたい。 そこにいたのは山歩きツアーのマダムたちとおっさんひとり、「ボンジュール、いい天気だね」と言葉を交わす。 マダムでも登ってこれる所に来たんだと一安心、わずかな休憩の後更に進む。 「あれぇー、おかしいな」 と、ひたすら平らな所を進む。 小川が流れ、日本だったら田んぼでもありそうな風景だ。 スキーだったらスケーティングで行けるがその点スノーボードは不便だ、板を外して歩かなければならない。 そのうちに時間が気になってきた、ヴァルトランスの谷に戻るには最終のリフトに16時50分に乗らなくてはならない、もし乗り遅れたら…なんて想像もしたくない。 「うわっ、ここだったのね最後は」 ようやく現在位置を把握する。 予想していた場所とは谷ひとつ違っていた。 瞬時に頭が計算をはじめる、ここからだと麓のゴンドラに16時までに着かなくてはならない、時計は15時30分を示している、テンパイってやつだ、なぜなら麓のヴィレッジまでまっ平らな雪原が続く場所だというのは事前に確認済みだったからである。 その谷ひとつ隔ててスキー場とゴンドラの中間駅が目線よりやや高い位置に見える。 麓の駅は・・・まだ見えない。 ・・・その日の夜、いつもの部屋でビールを飲んでいた。 「いやぁー面白いツアーだった」と、のんきにかまえる。 クレバスに落ちなかったのも、無事に帰って来れたのも結果オーライだけど、違った意味で山というものをまた教えられた1日だった。 約1日がかり、スタートが3500m超、ゴールの街が約1600mだから標高差2000mのツアーでした。 そんなわけで、無茶は禁物です、マネしないで下さいね。 |
|
標高3500mオーバーの 所からスタート ちなみに昼食はチョコパン |
|
右手前から左奥の広いところ へと下っていきます 写真下のほうにあるいくつかの 割れ目がクレバス 遥か彼方にモン・ブラン |
|
青白い部分が氷河です 近づくと食べられちゃいますよ |
|
出発地点は奥の谷の 更に奥でした 気持ちよく滑ってこれたのも ここまで |
|
山小屋(非難小屋) リフュージュといいます |
戻る |